許可の基準②「専任技術者」

「専任」とは

 「専任」とは、建設業許可を申請する又は建設業許可を取得している営業所に常勤して、専らその職務に従事することをいう。

 会社の従業員の場合には、勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任技術者として取り扱う。

 しかし、次に掲げるような者は、原則として「専任」とはいえないものとして取り扱う。

  1. 住所が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者

  2. 他の営業所(他の建設業者の営業所を含む。)において、経営業務管理責任者や専任技術者になっている者

  3. 建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引主任者等他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者(建設業許可を申請する又は建設業許可を取得している営業所が、建築士事務所や宅地建物取引業の営業所等と兼ねている場合を除く。)

  4. 他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等、他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者

実務経験とは

 「実務経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいい、ただ単に建設工事の雑務のみの経験年数は含まれないが、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事し、又は現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験等も含めて取り扱うものとする。

 また、実務経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務経験で、当該建設工事に係る経験期間を積み上げ合計して得た期間とする。

 ただし、経験期間が重複しているものにあっては二重に計算しない。

 なお、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入する。

複数の業種の専任技術者になるには

 2つ以上の業種について建設業許可申請を行う場合において、1つの業種につき専任技術者の要件を満たしている者が、他の業種についても専任技術者の要件を満たしているときは、その者をもって専任技術者の要件を満たしているすべての業種つき、建設業許可申請を行うことができる。

 ただし、「実務経験」の場合、1つの業種につき、一定の実務経験(3年・5年・10年)が必要になるので、一人が複数の業種の専任技術者になる場合は、その年数を合計した期間の実務経験が必要になる。

 例えば、専任技術者になるのに10年の実務経験が必要な者が、「左官工事」と「塗装工事」の両方の専任技術者になるには、「左官工事」で10年、「塗装工事」で10年、合計20年の実務経験が必要になる。
 
 なお、経営業務管理責任者と専任技術者を兼ねることは、勤務場所が同一の営業所である限り差し支えない。



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